豺(やまいぬ)・勒犬(ぬくてい)
野生の狼は、明治三十八年(1905年)に絶滅して日本からいなくなりました。
江戸時代には人里に下りてきて家畜や人を襲い、旅人もその犠牲になっています。
古くは神の姿が狼と考えられていました。
青梅市の武蔵御嶽神社では、「お姿」と称する狼を描いた「大口真神」のお札を受けて、盗人除けや農作物の害獣除けにしますし、狐憑きのお祓いにも使いました。
母性にかかわり深い獣ともされていますから、狼のお産の声を聞くと、山中に小豆酒を供える風習もあちこちにありました。