薬採る(くすりとる)・薬草掘る(やくそうほる)
秋の野山で薬草を掘ることを、こう呼びます。
薬として使う苦参(くらら)や茜(あかね)、千振(せんぶり)、柴胡(さいこ)、竜胴(りんどう)などは、根の熟した秋に採ることが適しているので、特に「掘る」と言います。
健胃薬として貴重な苦参や千振は、苦参引く、千振引くの単独季語になっています。
「花のとき見しをとこなり薬ほり」(成美)は、春の花の頃の薬狩(くすりがり)で見た男に、薬掘りの折また出合ったというのでしょう。
人びとの日常が見えてきそうな一句です。