鮭下風(さけおろし)
鮭が産卵のために川へ上ってくる秋の半ば頃に吹く、野分に似た風を東北では鮭颪と呼んでいます。
全国の方言約四千語を集めた『物類称呼(ぶつるいしょうこ)』にも、「八月(陰暦)の風を暴風といふ。
陸奥にて、鮭下風と呼ぶ。
この頃より鮭の魚を捕るといへり」と出てきます。
今でこそ鮭漁は脂の落ちる前の大洋で獲りますが、かつては川に溯上してくる鮭を獲っていました。
茨城県の助川も、「河に鮭を取るが為に助川と名づく」と『常陸風土記』であり、鮭の大きいものを須介(すけ)と言っていた名残りです。