しらお・膾残魚(しらうお)・王餘魚(しらうお)・銀魚(ぎんぎょ)・白魚捕(しらおとり)・白魚舟(しらおぶね)・白魚汲む(しらおくむ)・白魚火(しらおび)・白魚汁(しらおじる)
かつては各地の河口に分布していたシラウオ科の硬骨魚。
中でも歌舞伎の『三人吉三』大川端の名台詞「月もおぼろに白魚の、篝もかすむ春の空」で、隅田川の白魚はつとに有名です。
その隅田川の両国橋上流の「首尾の松」(吉原へ舟で通う人たちの目印)まで白魚が上ったという記録もあります。
その江戸の白魚も勢州(伊勢)から種を取り寄せ、品川に蒔いたの記述も見られます。
芭蕉の「明ぼのやしら魚しろきこと一寸」は、桑名近くでの作ですが、初案は「明ぼのや」が「雪薄し」と冬の句でした。
「冬一寸、春二寸」ともいわれる白魚ですが、一寸が春の季節のイメージにふさわしいと考えたのでしょう。
躍り食いで知られる白魚は「しらうお」と読み、ハゼ科の硬骨魚ですから別種です。