浅き春(あさきはる)・浅春(せんしゅん)・春淡し(はるあわし)
心では春を感じていても、まだ冬の寒さを引きずっているのが春浅しのの語源です。
詩歌でも、対語の「春深し」には、「行く春」「春の名残」「春の別れ」「春尽く」「春惜しむ」と言葉の限りを尽くして情を込めますが、「春浅し」にはそれがありません。
古歌に例がないばかりか、俳諧の季語として使われ始めたのもずっと遅れて明治になってからです。
とはいえこれは詩歌の世界に限ったことで、季節に予兆を感じることを大切にしてきた日本人にとって、春浅しはまさに春の予兆です。