夏の盛りの草木が、最も緑を濃く湛えている様子を言います。 北宋の政治家で、唐宋八家の一人に数えられる王安石の詩に「万葉叢中紅一点」と出てくる言葉です。 この万緑を中村草田男が「万緑の中や吾子(あこ)の歯生え初(そ)むる」と使ったことにより、新しい季語として誕生しました。 普段はあまり新季語に関心を示さない高浜虚子までもが、「万緑の万物の中大仏」と使ったところから、俳人は競ってこの季語に挑戦しました。 虚子うんぬんだけでなく、この季語の風景の大きな把握に魅力を感じたのでしょう。
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