桜若葉(さくらわかば)
桜が散り、人びとはしばらく余韻を楽しみますが、葉桜のころともなると、桜のことは頭を離れ、またもとの日常が戻ってきます。 あれほど賑わった桜の名所にも人を見なくなり、桜餅を連想させる若葉の香りが、折からの初夏の風に乗って漂ってきます。 葉桜は転じて美しい盛りを過ぎた女人(にょにん)の比喩(ひゆ)に使われ、『柳多留(やなぎだる)』にも、「葉ざくらはいづれ白髪長命寺(ちょうめいじ)」の川柳がありますが、桜には葉桜にさえ余韻があるのかもしれません。
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