春蝉は別にして田の蝉は、梅雨明のころから鳴き始め、七月末から八月にかけてが盛りです。
特に蝉時雨を演出してくれるのは、東日本では油蝉、西日本では熊蝉が主役です。
蝉時雨は本来心地よい鳴き声の部類に入るはずですが、炎天下の熊蝉や真夜中の油蝉の鳴きはやや不快音に属します。
不快音と言えば、日本人が美声と感じる虫の音が、欧米人にとっては不快音に聞こえるというのも民族の伝統の違いなのでしょうか。
「しぐれ」は、「過ぐる」から派生した言葉で、初冬に降る雨としていますが、しきりに続くものの譬えとして、蝉時雨のように使われもします。