水取(もいとり)
テレビの放映でなじみの風景ですが、奈良東大寺の二月堂で行われる行の一つで、三月十三日の午前二時から始まります。
笙、ひちきりの音に「はす」と呼ばれる大松明が現われ、続いて咒師を先頭にした練行衆が手松明、法螺貝、金剛鈴、牛王杖を持ち堂の南階段を降り、良弁杉の下の閼伽井から香水を汲み、本堂に運びます。
この香水は、若狭の遠敷明神から送られた聖水と言われ、仏事に供するため五個の壺に入れ須弥壇の下に収めてあったものです。
この香水をいただくと諸病諸厄が四散すると言い、童子がこの夜回廊で振る大松明の火の粉をあびると厄除けになると信じられるところから、群集がうねりとなって回廊下に殺到します。
このお水取が済むと、誰もが「春が来た」と言います。