帰る鳥(かえるとり)・小鳥帰る(ことりかえる)・鳥引く(とりひく)・小鳥引く(ことりひく)・引鳥(ひきどり)
日本に秋渡って越冬した渡り鳥が、北の繁殖地に春帰ります。
雁や鴨、鶴、白鳥などの大型の鳥から、鶫、鶸などの小型の鳥まで合わせると、夏鳥に比べ相当な種類になります。
「帰る」は、繁殖地に向かう鳥に限っていい、燕のように春やってきて繁殖する鳥は「燕来る」と表現しますが、「帰る」にはどこか哀惜の念がこもるものです。
中でも、「雁」に対して日本人は、特別の思いを寄せ、「雁の別れ」「名残の雁」「いまわの雁」と言葉の限りを尽くします。
数の上では雁の比ではない鴨などには、こうした濃密な言葉は残っていません。
渡り鳥の中には、仲間はずれになったり、傷ついたりして帰れない鳥も現れます。
これらの鳥にも「残る雁」「残る鶴」「残る白鳥」と詠んで哀れみの目差しを送ります。