風の色(かぜのいろ)・素風(そふう)・金風(きんぷう)
秋の風を「色なき風」と使ったのは、『古今六帖』に収める紀友則の歌「吹き来れば身にもしみける秋風を色なきものと思ひけるかな」からと言われます。
中国の古い哲理によると、天地の間には循環して留まらない木・火・土・金・水の五つの精気があって、これが万物組成の元素だとします。
この陰陽五行説に秋風を配すると金風になり、色に配すと白で、素風ということになり、紀友則の歌も、この五行説を下敷きにしています。
俳諧でも「秋風やしらきの弓に弦はらん」(去来)の「しらき(白木)」のように、「白」のイメージを重ねて使います。