春の名残(はるのなごり)・春のかたみ(はるのかたみ)・春の行方(はるのゆくえ)・春の別れ(はるのわかれ)・春の限り(はるのかぎり)・春の果(はるのはて)・春の湊(はるのみなと)・春の泊り(はるのとまり)・春ぞ隔たる(はるぞへだたる)・春行く(はるゆく)・春尽く(はるつく)・春尽(しゅんじん)・徂春(そしゅん)・春を送る(はるをおくる)
帰って行く鳥や散りゆく花、過ぎてゆく月日に愛惜の念を抱くのは、日本人独特の美学ともいえますが、行く春もその代表的な言葉です。
さらに名残、かたみ、別れ、送ると擬人法を使って人との別れに模した春の送り方もします。
四季のうち夏と冬にはこの送り方はなく、行く春、行く秋には、これから暑くなり、寒くなる季節を迎えるに際して、一層名残を感じたのでしょう。
島崎藤村の詩「晩春の別離」も「時は暮れ行く春よりぞ また短きはなかるらん・・・」と詠いだし、行く春の情感を揺曳(ようえい)させます。