春の浦(はるのうら)
筝と尺八の二重奏曲「春の海」は、演筝家宮城道雄の代表曲として海外でも知られていますが、この曲が描くのどかさが春の海の特徴です。
さらに蕪村の「終日のたりのたりかな」の描写とともに、一つの「春の海」のイメージが出来上がっています。
漁港に揚がる魚も、それまでの冬の海から一変して、春の魚が目立つようになるころです。
瀬戸内も穏やかになり、産卵のため鯛や鰆が陸に近づき、魚島ができるのも晩春の光景です。
和歌では、春の海より、「春のうら」→「うららに」の掛け詞として「春の浦」の方が多く詠まれています。