春宵(しゅんしょう)・宵の春(よいのはる)
古代の夜を三つに分けて宵、夜中、明時と呼んでいる古代の時代ですと、夜は日暮れから夜中までの幅広い時間帯を指す言葉でした。
『万葉集』でも宵を表す分け方として、夕、暮、晩(夜の初めの方)、夜、初夜(今の午後八時ごろ)と表記し、微妙な使い分けをしてきました。
しかし現代では、宵をせいぜい夕暮れ時にしか感じていませんから、「宵越しの銭は持たぬ」の江戸っ子の気風は、ちょっと理解に苦しむかもしれません。
「宵張りの朝寝坊」の宵張りも死語になる日も遠くなさそうです。
今の宵は「宵の口」のことで、春の宵もそう取るとすれば、少し冷やっとする朧の夕暮れのことになりましょう。