春のいろんな鳥が野山や林で群れて鳴く様子が百千鳥ですから、囀(さえずり)とどこか似ていますが、囀と違って鳥の個々の鳴き声の輪郭が定かでないのが、百千鳥の特徴かもしれません。 野山や林がどことなく騒立つのも、この時季特有のものです。 『古今集』の中の三種の鳥を定めた『古今三鳥直伝』には、呼小鳥(よぶこどり)の筒鳥(つつどり)、稲負鳥(いなおおせどり)の鶺鴒(せきれい)と並んで、鶯を百千鳥としていますから、諸説を生む原因ともなりましたが、今では鳥の群れ鳴きを百千鳥と断じてもよいでしょう。
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