春睡(しゅんみん)・春眠し(はるねむし)・春の眠り(はるのねむり)
誰にでも身に覚えのあることですが、春の朝の床離れはし難いものです。
怠惰と愉悦が同居した名状しがたい幸せを感じるいっときです。
孟浩然の詩「春暁」に、「春眠暁を覚えず、処々啼鳥を聞く、夜来風雨の声、花落つること知んぬ多少ぞ」とあるところから、「春眠暁を覚えず」は、日本の譬えにもなりました。
ですから「春眠」の季語は、朝寝に限って使われていますが、昼間の眠い状態にも言います。
わけても苗代のできるころの蛙の声を聞いているとつい眠くなりますが、これは蛙に目を借りられるからだとして、「蛙の目借時」とか単に「目借時」なる季語も生まれました。
これもまた春眠と言えます。