花筵(はなむしろ)・絵筵(えむしろ)・綾筵(あやむしろ)
赤・青・緑・黄などで染めた藺草(いぐさ)で織ったもので、夏の寝茣蓙や板の間の敷物、畳の上辺(うわべり)などに使います。
肌に冷やっとした感触がありますし、藺草(いぐさ)や藍(あい)の匂いにも独特のものがあります。
「はな蓙(ござ)を巻いた小口(ごぐち)は観世水(かんぜみず)」の川柳が『柳多留』にありますが、「観世水」とは、渦を巻いた水の模様で、観世大夫の紋所ですから、相当な皮肉になります。
「ござ」の「ご」は尊敬の接頭語ですから、貴人の座席の意です。
江戸時代の、春を販ぐ(ひさぐ)夜鷹(よたか)は、これまた皮肉なことに、この茣蓙を巻いて持っていました。