どの歳時記を開いても、雨や曇天の続いた後の晴れた日の月と書き、「思いがけず」に出会った月と解説しています。 これも正しいのですが、日本人には、雨のため見えないつきに心を寄せていく雨月(うげつ:秋の季語)という発想もあります。 不思議なことに、陰暦五月の異称が雨月なのです。 この月は暦の月であると同時に、ムーンの月ととると、「梅雨の月」のイメージも膨らんできます。 西行が借りた宿の、姥(おうな)が月を賞(め)で、翁(おきな)が雨音を好むという能の「雨月(うげつ)」さえ思い出されてきます。
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