雁が渡ってくる九月から十月頃に吹く北風をこう呼んでいます。 はじめは雨を伴って吹き、後に青空の下を吹く風ですから、『物類称呼』の分類では青北風と同じ風で、歳時記の中には同じ季語として扱っているものもあります。 ただし、青北風が漁や航海をする人達が使ったのに対して、雁渡しの方は、雁の飛来を待ち望んでいた人達の思いが込められています。 この風の名から、雁の渡りの姿を連想させますから、同じ風でも名辞によって随分違うものです。
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